<庇う>不採用について

クトゥルフ神話TRPG6版において、ぼくの卓では<庇う>を不採用としています。今回は何故ぼくが<庇う>を不採用にしているのか?のお話です。

あくまで”ぼくの”考え方であり、ぼく卓で採用されていない理由の説明に過ぎません。他の卓のハウスルールにケチをつけたり、考え方を否定するような意図は一切ありません。

また、ぼくの記事を引っ張って特定の誰かを批判するような行動もしないでください。



▼まず「庇う」とは何なのか?

多くのキーパーが取り入れているハウスルール(公式にはないその卓限定の特別ルール)であり、主に戦闘ラウンドで使用できる技能です。

ハウスルールの中でも採用率が高い技能であり、Twitter募集などで色んな卓に参加していれば目にする機会も多いかと思います。

卓によって細かいルールは違いますが、よく見かける内容としては以下の内容です。

自分以外の探索者やNPCがダメージを受けそうなとき、双方(プレイヤー同士やキーパー)の同意があればDEX*5やDEX*3などのロール成功でダメージを肩代わりすることができる

例えば探索者Aに悪党のナイフが振りかざされた時、探索者Bは<庇う>を宣言しDEX判定を成功させることで、探索者Aと悪党の間に滑り込みナイフのダメージを肩代わりすることができるわけです。

ハウスルールとして採用率が高いだけあり、現実的に可能そうであり、自己犠牲によって特定の相手を<庇う>行動は、ロールプレイとしてかなりエモーショナルな内容に演出できるのではないでしょうか。



▼ぼくの卓で不採用の理由

本題です。「現実的に可能な行動は許可する」と宣言しているぼくの卓で、なんで現実的に可能そうな<庇う>を採用してないのか?


一言で言うと「めんどくさいから」です。


そもそも<庇う>っていつ宣言するの?

ハウスルールとして<庇う>ってよく見るんですが、宣言タイミングについての言及は記憶の限り見たことが無いです。一応、ぼくが想定できる限りのタイミングを以下に考えてみました。


①エネミーのダメージロールを見てから

ダメージが算出されている=既に攻撃が当たっていると認識しているので、このタイミングでの庇う宣言は非現実的に感じます


②被ダメ対象が<回避>失敗してから

「本人は足がすくんでしまったが近くにいた探索者が素早く反応して割り込んだ」と描写できますが、エネミーの攻撃ロールは成功してるし、本人も回避できないほど有効なものであったのに対象じゃない人物が横から反応できるものなの?って疑問があります

そもそもここで庇えるかどうかもわかりません。本人の<回避>と他人からの<庇う>は両立するんでしょうか?

とはいえぼくの想像ではこのタイミングで宣言され、判定されることが多いんじゃないかな?と思います


③攻撃対象が決まってすぐ

エネミーが攻撃対象を決めた(視線を向け、武器を振りかざした)時です。ぼくはこれが一番現実的なタイミングだと思うんですが、エネミーのターンの度、攻撃対象を決め、誰かが攻撃対象を庇うか宣言の確認をするのは結構めんどくさいです

キーパー「悪党は探索者Aに向かって<ナイフ>です!誰か庇いますか?」
探索者B「体力多いので庇います!」
探索者A「私<回避>50%なので避けれると思います!」

探索者B「でもAさん体力低い><」

探索者B「50%は避けれる!いけます!」

探索者A「わかりました…!頑張って…!」

みたいなくだりがエネミーのターンの度起こる可能性があるわけです。


宣言タイミングを考えるだけでもちょっとめんどくさくないですか?


さらに、複数人の探索者が同時に庇うを宣言した場合、庇える人物は1人なの?それとも複数人が同時に1人を庇うことができるの?といった疑問も出てきます。


1人のみが庇える場合はDEXの早いものが優先されるのか?HPの高いものが優先されるのか?それとも今までのRPでの関係が優先されるのか?

複数人が同時に1人を庇える場合は、全員が判定を行い成功した者の数でダメージを分散させることができるのか?それともDEX順にダイスロールを行い成功した者に全てのダメージが入るようにするのか?


ところで、<庇う>って1R中、<攻撃>や<回避>、<受け流し>と両立するんですか?

<攻撃>と両立できるとしたら、<拳銃>など1Rで複数回攻撃できるものはそのまま複数回攻撃ができるんですか?

そしてエネミーも<庇う>を使ってくるんですか?


などなど…。ともかく細かい裁定が不明確なのです。

だって公式のサポートがないルールだから!

オリジナルの技能は、その効果についてKPがルールを明確にし、卓を囲むPL全員に周知させる必要があります。(的なことが公式P150に書いてます)


すいません。これ、怠惰なぼくにとってはめちゃくちゃめんどくさいです。


細かい裁定を考えて、文面を整えハウスルールとして書き出して、参加PL全員に認知して頂くのは、野良募集で気軽な一期一会を中心に楽しんでるぼくには不向きなのです。


そんなわけで、ぼく卓では<庇う>が不採用となっております。

ハウスルールとして採用の多いルールですし、<庇う>に慣れたPLさんにはご不便をおかけして申し訳ないのですがご了承いただければ幸いです。



代わりと言ってはなんですが、戦闘ラウンドにおいて仲間より前に立つ、意識を自分へ集中させるなどの行動ができるようになっています。

必要であれば、これを疑似的な<庇う>として活用して頂ければと思います。

必ずしもこの行動が有効であるかの保証はできませんが、だいたいの場合は手前にいる敵を先に排除しようとするでしょうし、エネミーが言葉の通じる相手であるなら「バーカバーカ!」と叫んでる探索者が真っ先に撃ち殺されるハズです。


これは一応、公式シナリオでもあるギミックです。

魔導書を持った人間を真っ先に倒したいのに、先に召喚された不浄のものがタンク役となって人間への攻撃を邪魔してきたり、逆に召喚された怪物を退散させたいのに信者が詠唱の邪魔をしてくるので先に信者を倒さなければいけなかった……など、経験した方は多いのではないでしょうか。

ぼくはこれらのエネミーの行動を疑似的な<庇う>だなぁと思っていて、エネミーが使えるなら探索者も使っていいギミックだよね!と思って採用しています。


今のところ、野良で出会った一期一会のPLさんにも「おら!バケモン!こっち来いよ!って目の前で目立つ動きされたらそっちに意識が向きますね」って状況込みで説明しやすいし、伝わりやすいかな~と思っています。


おまけ


ところで<ディレイ>はなんで不採用?


探索者の行動を遅らせるだけの<ディレイ>は<庇う>よりかは単純です。

技能の明確化として必要なのは

・宣言タイミングはラウンド開始時?自分のターンが回ってきた時?
・<ディレイ>宣言した場合、宣言した探索者は任意のタイミングで行動を再開できるのか?それとも確定でラウンドの最後となるのか?
・<ディレイ>した探索者は<攻撃>と<回避><受け流し>の両立ができるのか?
・<拳銃>など1Rで複数回攻撃できる武器を持っていた場合の攻撃回数やタイミングはどうなるのか?


ぐらいじゃないかな?と思います。

ハウスルールとしては簡単で採用しやすいものなのに、何故ぼく卓で不採用なのか?


理由は単純

別に必要な場面無くない?


以上です。

ハウスルールとして<攻撃>と<回避>を両立できないクラシックルールを採用している卓があると思うんですが、そのルールの場合は<ディレイ>が戦術的に有効です。

探索者のDEXがエネミーよりも早い場合、<ディレイ>がないと<回避>のチャンスすら訪れないからです。

ぼく卓は<攻撃>と<回避>が両立できるため、特に必要になる場面がないと考えています。

盤面(DEX)の順序通りに処理できたほうがKPとして楽なので不採用としています。



とはいえ!例えば探索者Aがセッション中のRPで敵Aと因縁の関係になっており、最終盤で敵Aを瀕死まで追い詰めた際、探索者(及びPL全員)が「探索者Aがトドメを刺せるように行動したい」と望むのであれば探索者A以外の全員<ディレイ>を許可するかもしれません。

厳密に言うなら、ラウンドの後に行動することが前提の<ディレイ>ではなく「探索者Aがトドメを刺すまで他探索者は一切の直接攻撃を行わずRPやサポートに専念する」ですね。探索者Aが攻撃を外したとしても、PL陣営のHPに余力があればラウンド終了時~次ラウンドに回ったとしても一切攻撃しないことが考えられるわけです。

このへんはそういう場面が訪れたらぼくから早めに提案するようにしますし、特定のシナリオでしか起こり得ない限られた状況になるので今のところは<ディレイ>不採用で困らないと思っています。



追記

▼ぼくがプレイヤーとして<庇う>や<ディレイ>が採用されたセッションに参加することについて


なんもかんがえてないです


今のところぼくは<庇う>や<ディレイ>が必要になる場面に出会ったことがありません。

必要な場面になった際、分からないことがあればキーパーさんにお伺いすることがあるかもしれませんが、「雰囲気で!」って言われたら雰囲気で庇ってみたりなんかしちゃったりします。


TRPGなんてぜんぶ状況次第ですからね。


本題として長々と書いた部分は、ぼくがキーパーをする場合の考え方であり、それを他卓に持ち出すつもりは一切ありません。


かなり長文になりました。

お読みいただきありがとうございました。

きりん牧場

TRPG関係とかそれ以外とか